8月1日から3週間にわたり開催された今回の展示会では、多彩なプログラムを通じて「戦争の記憶を語り継ぐこと」について考える場をつくることができました。

まず、MSUデンバーの先生と学生が自ら制作した映画を持参し、2回の上映会を行いました。
沖縄・東京・福岡の若者たちも映像作品を通じて参加し、それぞれの地域における「戦争体験をどう語り継ぐか」という問いを共有してくれました。さらに、アメリカの映像クリエーターも独自の作品を制作し、会期途中からループ上映に加わりました。

会場では、長崎と広島の被爆者による証言映像や、登戸研究所での秘密任務に関する映像を流し、歴史を多角的に考える機会を設けました。また、スタジオジブリの『火垂るの墓』を4回上映できたほか、岡田斗司夫氏による同作品の解説映像に英語字幕を付け、ニュージーランドの人々にもこのアニメーション映画の単なる反戦映画ではない点の理解を深めてもらう工夫をしました。

一方で、来場者数は当初の期待より少なく、直接感想を聞く機会は限られたのが残念でした。その中でも印象的だったのは、韓国からの移民の方が「日本は被害者だと主張できるのか」と批判的に問いかけていたことです。
また、デンバーの学生の映像作品では、日系人の強制収容に関する話の中で「日本人だけでなく、先住民も強制的に収容されたのではないか」といった発言がありました。こうした声からは、「誰が加害者だったのか」「どちらがより被害を受けたのか」という感情や視点の違いが浮かび上がりました。さらに、「核兵器は使うべきではないが、現代の国際情勢の中では防衛手段として必要だ」との意見も聞かれました。
これら多様な声に触れたことで、戦争体験の継承は単なる「記録」ではなく、現代の私たちの課題や未来の選択とも深く結びついていることを改めて実感しました。今後もこうした意見を踏まえながら、「戦争のない世界は可能なのか」を共に考える場をつくっていきたいと考えています。


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